’30〜40〜50 年代のウエスタンのトランスは共通して柔らかい奥行き感のある音場感豊かな音
です。特性は 50〜20,000Hz で広域とは言えませんが、材質が基本的に異なり、その音質は
世界的に評価されています。トランスの音質は特性ではないことを証明しています。
中でも 1920 年代の英国ウエスタンのトランスは電信用のトランスですが桁違いに音質が良く
高値で取引されています。特性が優れている現在の数あるトランスでも足元にも及びません。
ウエスタンのトランスは共通して高域の伸びは押さえられていますが中低域にふくよかさがあ
り、音質の3要素、音場感が抜群です。ジャズにもクラシックにも良く合います。
1.WE-111C トランス
比較的入手可能でライントランスとしても利用できる WE111C はウエスタンの中でも
代表格でオーディオシステムには必須のトランスと言えます。
同種のトランスでは WE-91,93、94、101 などがあります。同じ音質です。
使い方は通常のライントランスと同じですが、複数のライントランスを直列に使う場合
はWE-111C を最後尾に使う方が音質の調整がし易くなります。
このトランスを入れると明らかに音質が変わるのが判ります。奥行き感と楽器の響きが
増し楽器の定位が明確になります。ボーカルでは声が浮き出てきます。
’そこに人がいる’(購入者談)言い得て妙なり。
なお、アンプのトーンコントロール機能 は音質の微調整に有効です。但し、使いすぎる
と中域まで音質が変化して逆効果です。
レコードマットでドライカーボン(炭素繊維)製を使うと高域の鋭さや低域のふくらみ
が解消され音場感が増します。
2.レコードでの使い方
・フォノイコを外付けとしこのフォノイコとアンプ間で WE111Cを使います。
アンプへの入力はライン端子へ接続します。( CD,チユナー端子でも OK )
注)フォノイコなしに MCトランス又は MMカートリッジと直結すると変化
が強く出ます。 ’フォノイコの選定’を参照。
・プリアンプとパワーアンプ間で WE-111C を使います。
注)トランス接続( 600Ω )のアンプ間ではまれに音が歪む場合があります。
3.CD での使い方
通常のライントランスと同じ使い方です。CD とアンプ間で使います。
ラインケーブル、SPケーブルはウエスタンのブラックエナメル単線 20AWGを使います。
CD 特有の硬く冷たい音質がレコードと同じ音質になります。
CDプレーヤーの機種によって音質差がかなりありますのでトランスの組合わせが重要と
なります。 ’ライントランスの効果’を参照。
4.試聴室での使用事例
レコード再生に外付けフォノイコ〜アンプ間で WE-111CとJENSEN を使用。
低価格アンプ(中古4万円)、小型 SP(CM1&4301)にもかかわらず音質が激変、
ライントランスの効果あり。CD再生も同じ。 ’試聴室’を参照。
MC20,M3D、3A55,WE-111C の組み合わせ(下図)ではオーケストラの弦楽器の
絹のような滑らかさと立体感が素晴らしく奥のティンパニー、バスドラムも明確に定位
が出ます。ピアノ協奏曲のピアノの響きは秀逸。
WE-111CにJENSENを追加すると中高域の解像度が増し定位が明確になります。
フォークの’ボヘミアの森から’ではメインシステムと同等に音場感豊かなイルカの
ボーカルが目前に迫ってきます。
ジャズでも MJQ のバイブ、ドラムのブラシやカーメンマクレーのボーカルなども臨場
感があります。
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