ボーカルのセッティングはジャズより難しい。
ボーカルのバックで演奏するバンドの問題。50% がフルバンド又はオーケストラ、50% は小編成の
ジャズバンドです。この両方をうまく再生するスピーカーはなかなかありません。
ボーカルの80% は女性。男性は 20%。基本はジャズのセッティングと同じ。
1.ボーカル再生の条件
1)ボーカルはバックの演奏に埋没せず前面に飛び出して来ること。同じ平面は不可。
2)バックのオーケストラ又はフルバンドの演奏はボーカルを邪魔せず、滑らかなこと。
3)バックのバンドの演奏は小音量でも各楽器が埋没しないこと。
特にピアノ、ベースは明確に聞こえること。
上記を満足するスピーカーはジャズもクラシックも再生できる必要があります。多くのシステム
はボーカルと演奏が同じ面で奥行き感=0になっています。
目の前で歌っている’息づかいの再現’’温かみ、柔らかさ’が重要です。
2.スピーカーの選定要素
1)欧州系のスピーカーはきれいな音ですが、ボーカルが前に出てこない。ジャズの迫力はない。
2)ALTEC はボーカルに最適ですが、バックの演奏の再生が刺激的で雑。
3)JBL は無難に全体をこなしますが、ボーカルが前に出てこない。
4)JENSEN は JBL に近い音ですが、JBL と ALTECの中間程度。
5)B&W のボーカルは現代的で声が浮き出ますが、システムによっては高域がきつく出ます。
ボーカルの周波数は女性で 5K〜8KHz、男性で 800〜5KHz が重要。この帯域の再生を重視。
スピーカーは1,000〜8,000Hz の再生が重要となります。この帯域でボーカルが浮き出てくる
事。特性がフラットなスピーカーはトランスで調整。
3.カートリッジの選定
ボーカル専用に装置を組むことはないので前項を参考にカートリッジを選択。
50〜60 年代の MONO盤、ステレオ盤が対象で
’カートリッジの選定’を参照。
レコードのレーベルや録音年代によって音質に差が出るのでカートリッジの交換で対応。
近年の特性の良いカートリッジ(MM、MC)はこの年代のボーカルには合わない。
4.アンプの選定
トランジスターアンプは不適。ボーカルに必要な’温かみ、柔らかさ’が出ない。
’音の倍音再生’に優れている管球式の方が良い。
管球式は出力管で音の性格が変わります。声の帯域と温かみ、柔らかさを考えるとKT88、6L6GC
が適していると思われる。KT88 の互換 6550 や 6L6 シリーズのメタル管、6L6、5881
などはこれより劣る。真空管は米国、欧州の OLD 管に限る。中国管、ロシア管は論外。
フォノイコは当然外付けにします。
5.ライントランスの選定
上記、大まかな調整が終われば最終的にケーブル類とライントランス、フォノイコで調整します。
これでかなり音質が変わります。
ライントランスはボーカルの音域である 3K〜6KHz 前後が盛り上がる’Peerless、ALTEC’か
奥行き感のある 'DUKANE' のトランスが合います。
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ライントランス・・MCトランス・音工房