MCトランス・ライントランス.リピートトランス・トーレンスレコードプレーヤー・トーンアーム修理・音工房
アンプの性能、音色はトランスによって決まるといわれますが、近年のトランスは特性を重視して
音作りは二の次になっています。昔のトランスは音が良いのは測定器に頼らず、設計者の耳と感性
で音作りをしたためです。
一般的に特性が良いと音が冷たく細くなり、潤いが無くなります。
日本製のアンプは潤いが無く、同じような無機質な音になるのはそのためです。
1.オルトフォン(欧州)トランス
・旧トランス:中域に特徴があり、重心が低く潤い、奥行き感のある音。
・新トランス:全般に伸びがあり、楽器の音を再現させる音。潤いは落ちる。
ジャズは旧トランス、クラシックは新トランス。ピアノの再生は逸品。
現行トランスは日本製(made in japan)で音質は国産トランスと同じ。
2.ALTEC/ピアレス(米国)トランス
音が前面にせり出し、生のライブ感が著しい。マイクトランスは響きの良い柔らかい音。
インプットトランスはジャズ、ボーカルにはよく合うがクラシックの奥行き感は出にくい。
有名な 4629 は ウエスタン618B よりもジャズ、ボーカルでは生々しい音。
4722、15095、15356 などはそれぞれ特徴があり同じ音質ではない。
ピアレスのアウトプットトランスは数ある中で最も音質が良いので有名。
3.ウエスタン(米国)トランス
共通して柔らかい奥行き感のある音。このトランスで音色は全く変わってしまう。
このリピートトランスをうまく使えば、システムの数段のレベルアップが望める。
ジャズにもクラシックにも良く合う。有名な WE-618B はレプリカや偽物が多い。
特に 1920 年代の 77A,4001 (入手困難)ライントランスはすばらしい。
現在でも入手可能な WE-111C,101A、93A などはライントランスの定番。
4.DUKANE・Langevin(米国)トランス
いずれもウエスタンの子会社でウエスタンのアンプ、トランスなどを制作。音質も
ウエスタンを継承しています。コッター Mk2(米国)も同質のトランスです。
DUKANE はウエスタンの子会社でウエスタンのアンプ、トランスなども製作。
主に劇場、放送局など業務用音響機器を開発していた企業です
3A25,3A80 など3Aシリーズは WE-618B と音質が同じで使いやすい。
5.UTC(米国)トランス
UTC トランスは全てのトランスで同じ傾向があり、伸びが良い、締まった音。
プリアンプに UTC出力トランスを付けると驚くほど音がよくなる。
有名な 2080 は UTCの中でも最も音質が良く音場感が素晴らしい。
6.JS(欧州)トランス
オルトフォンの低インピーダンス専用のトランス。音質はニュートラルで癖がなく
素晴らしい伸びで音場感があります。弦楽器ではこのトランスの右に出るものは
ありません。クラシックの音源にマッチ。
7.JENSEN(米国)トランス
JSトランスに似た音質で伸びが良く、音場感が優れた音。ピアレスとは対照的な音。
昇圧トランスは数が少なくライントランスが多い。DUKANE トランスと組み合わ
せると抜群の音場感が得られます。
8.TRIAD(米国)の音
有名な HS-1,HS-15 は LANGEVIN や コッターMk2 と同質の音。
このトランスは出物が少なく入手困難。
他に、A9シリーズ、A6シリーズもあります。これらのトランスは国産に似た音で
音場感は全くない。
9.パートリッジ(欧州)の音
英国のトランスで数種類の型番があるが、TH-7908,TH-7834,などは
DUKANE 3A25 と同質の音。その他の低価格モデルはかなり劣る。
10.その他のトランス
有名な NEUMANN の BV-33 は独製の割には音質がよくオルトフォンの SPU-T1
と全く同じ音質。高価格と音質が見合わない。ほとんどがコピートランスで音質は純正と
異なる。ノイマンのカッティングマシンに使われていたトランスで大量に出るはずがない。
ノーザン-ウエスタン(カナダ)はWEの支社でこのトランスは音が良いことで有名
ですが、実際に聴くと期待外れ、AMPEX も同様。国産トランスと同じ。
シーメンス、テレフンケン(独)など真空管で有名なトランスもいまいち。
ウエスタン系の 1920 年台の送信用や 1930〜40 年代のアンプ用インプットトランスをライン
トランスとして使うと音の表情が変わってしまいます。90 年前の特性が悪いものにもかかわらず
音質が激変するのは’音作りは特性ではない’ことを証明しています。
トランスの音質は使われているコアと巻き線の材質で決まります。ウエスタンの音質が良いのは
コアにパーマロイを使い巻き線の材質が良いからと言われています。
最近のカートリッジ、アンプ、スピーカーは周波数特性重視で、音質は細く潤いがありません。
これにウエスタン系のトランスを併用すると周波数を押さえ(〜20,000Hz )音場感と潤いが
ある音質に変化します。
ウエスタンには米国ウエスタン、英国ウエスタン、ノーザンウエスタン(カナダ)と関連企業 IPC、
Langevin、DUKANE(いずれも米国)があり、ウエスタンのアンプ、トランス、関連を製作。
音作りは共通しています。本業は電話、送信機など電信機器の企業。米国AT&T の傘下。
国産トランスの特徴は周波数やダイナミックレンジなどの音質特性が良いことがあげられます。
測定装置での設計が中心のためで、特性重視で巻き線やコアの材質を選定。
その結果、音質は押しなべて中高域に特徴があり、音が細く音場感のない冷たい音色。
巻き線やコアの材質が古い欧米のトランスとは音質の決定的な差となっています。
特に周波数特性 20,000Hz 以上は不要で上が伸びるほど’音質の3要素’が無くなります。
また、国産トランスはノイズを防ぐためシールドが強く、その分音質が劣化しています。
古い欧米のトランスは音質重視のためシールドが弱くアンプのボリュームを上げ過ぎるとノイズ
が出る場合があります。
昔の欧米のトランスが魅力的なのは設計者の耳で設計されているためそれぞれに特徴があります。
トランスを変えるだけで音が変わるのはシステムの中で最も重要な要素となっているため。
カンノトランス(菅野製作所)は他の国産メーカーと異なりウエスタントランスの音質を徹底的に
分析しコアの材質を分子配列レベルまで調査して、その仕様で制作したとされ、高域を無理に伸ば
さず最も重要な中域を重視したウエスタンの設計となっています。
このトランスを使ったカンノアンプは卓越した音質で他を寄せ付けず、アンプの命はトランス
であることを証明しています。昇圧及びライントランスも同じ。他の国産トランスは特性を重視
して高低域を伸ばし中域が痩せているため音が無機質で感動がわかない。。
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