1.ウエスタン(米国)トランス
共通して柔らかい奥行き感ある音。このトランスで音色は全く変わってしまいます。
ライントランスをうまく使えば、システムの数段のレベルアップが望めます。
ジャズにもクラシックにも良く合います。有名な WE-618B はレプリカが多い。
1920 年代の WE-4001,76A,77A ライントランスはすばらしい。
現在でも入手可能なWE-111C,101A、91A、93Aなどはライントランスの定番。
WE-4001,76,77/ 91,93,94,101,111/ 55、67,177、201、146
200,500、D162199、KS9461
シールドが弱いトランスはボリュームを上げるとハムが出やすくなります。
ウエスタンのトランスも種類が多く全てが使えるとは限りません。
使えるのはウエスタン系のアンプの入力トランス、出力トランス、段間トランスとして
使われたトランスのみ。中には音質の悪いトランスもありますので選定には要注意。
2.DUKANE (米国)/ Langevin(米国)トランス
いずれもウエスタンの子会社でウエスタンのアンプ、トランスなどを制作。音質も
ウエスタンを継承しています。コッター Mk2(米国)も同質のトランスです。
DUKANE はウエスタンの子会社でウエスタンのアンプ、トランスなども製作。
主に劇場、放送局など業務用音響機器を開発していた企業です
DUKANEは中低域に特徴があり、体が包み込まれるような音場感ある音質。
3A25,3A80 など3Aシリーズは WE-618B と音質が同じで使いやすい。
DUKANE 3A25,3A55、3A65は 昇圧トランス。
DUKANE 3A130,3A230、3A100,3A80 はライントランス。
3.ALTEC/ピアレス(米国)トランス
ピアレスは ALTEC のトランス部門で同一企業です。
音が前面にせり出し生のライブ感が著しい。マイクトランスは響きある柔らかい音。
ジャズ、ボーカルにはよく合うがクラシックの奥行き感は出にくい。
4629 はウエスタン618Bよりもジャズ、ボーカルでは生々しい音。クラシックは不可。
15095はマッチングトランスで昇圧、REP両方に使用可。4629 と同質。ジャズ用。
15356、15015は音の重心が低く奥行き感がありクラシックにも使用可。高域改善用。
4722は帯域がフラットでクラシックには合います。ジャズには不可。
SLCー1は帯域がフラットでクラシックにはよく合います。ジャズでも可。
42292、15335は中高域に特徴がありジャズには合います。クラシックは不可。
ピアレスのアンプ用アウトプットトランスは数ある中で音質が良いので有名。
4.JENSEN(米国)トランス
1927年創業の JENSENは有名なギターアンプ用スピーカーメーカー。
1950年代〜60年代のほとんどのアメリカン・アンプに使用された伝説のスピーカー
メーカーです。
JS トランスに似た音質で中高域の伸びが良く低域は膨らまないフラットな音質。
音場感が優れた、ピアレスとは対照的な音。昇圧トランスは数が少なくライン
トランスが多い。
中高域のザラツキ、キツさの改善、中域のモヤモヤ感と膨らみの改善には最適。
JE-MB-C(D,E), JT-MB-C(D,E) いずれも初期型はフラットな帯域。
5.UTC(米国)トランス
UTC は米国の有名なオーディオ用トランスメーカーでアンプのインプット、ライントランス
に使われていました。RCAのアンプに多用。UNITED TRANSFORMER CORPORATION の略名。
TRWはUTCの後期の社名(社名変更)でトランスは同一の物です。
UTC は全てのトランスで音質にばらつきが無く伸びが良い音。中高域の改善には最適。
音の粒立ちがよくなり歯切れの良い澄んだ音です。
高域のザラツキ、キツさ改善、中域の改善には最適。
有名な昇圧トランス2080 は UTCの中でも最も音質が良く音場感が素晴らしい。
A-20、21 はライントランスで有名。帯域はフラットです。
6.TRIAD(米国)トランス
有名なHS-1,HS-15 は LANGEVIN や コッターMk2と同質の音。クラッシック用。
このトランスは出物が少なく入手困難。
他に、A9シリーズ、A6シリーズもあります。
7,シュア(米国)トランス
カートリッジで有名なシュアのマイクトランスは種類は少ないですが音質はきれいな
音で帯域はフラット。低域は膨らまず中高域に特徴がありスッキリした音質です。
クラシックの室内楽、バロック、声楽、ジャズのボーカルには合います。
8.オルトフォン(デンマーク)トランス
旧トランス:中域に特徴があり、重心が低く潤い、奥行き感のある音。
T-10,20,30,STA-88,STM-72,T-1000,2000,3000,5000
新トランス:全般に帯域がフラットで伸びがあり、楽器の音を再現させる音。
T-10mk2,20mk2,30mk2
旧トランスはジャズ、クラシックともに合います。ピアノの再生は逸品。
T-1000,2000,3000,5000 はクラシック専用。
現行トランス(型番ST・・・)は日本製。音質は国産トランスと同じ。
9.JS(デンマーク)トランス
オルトフォンの低インピーダンス専用のトランス。音質はニュートラルで癖がなく
素晴らしい伸びで音場感があります。弦楽器ではこのトランスの右に出るものは
ありません。クラシックの音源にマッチ。
10.パートリッジ(英国)トランス
英国のトランスで数種類の型番がありますが、TH-9708,TH-7834,などは
音場感のあるトランス。その他の低価格モデルもあります。
11.NEUMANN(独逸)トランス
有名な NEUMANN の BV-33 は独製の割には音質がよくオルトフォンの SPU-T1
と全く同じ音質。価格が高く音質がこれに見合わない。
ほとんどがコピートランスで音質は純正と異なる。ノイマンのカッティングマシン
に使われていたトランスで大量に出るはずがない。
12.その他のトランス
・ノーザン-ウエスタン(カナダ)はWEの支社でこのトランスは音が良いことで
有名ですが、実際に聴くと期待外れ。
・AMPEX(米国)、 も同様。国産トランスと同じ。
・RCA(米国)、JBL(米国)のトランスは他社製で音質もそれほどではない。
ウエスタン系の 1920 年台の送信用や 1930〜40 年代のアンプ用インプットトランスを
ライントランスとして使うと音の表情が変わってしまいます。90 年前の特性が悪いもの
にもかかわらず音質が激変するのは’音質は特性ではない’ことを証明しています。
トランスの音質は使われているコアと巻き線の材質で決まります。ウエスタンの音質が
良いのはコアにパーマロイを使い巻き線の材質が良いからと言われています。
最近のカートリッジ、アンプ、スピーカーは周波数特性重視で音質は潤いがありません。
これにウエスタン系のトランスを併用すると周波数を押さえ(〜20,000Hz )音場感と
潤いがある音質に変化します。
ウエスタンには米国ウエスタン、英国ウエスタン、ノーザンウエスタン(カナダ)と
関連企業 DUKANE、Langevin、IPC(米国)がありウエスタンのアンプ、トランスなど
製作。音作りは共通しています。本業は電話、送信機など電信機器の企業。
米国AT&T の傘下。
国産トランスは周波数やダイナミックレンジなどの音質特性が良いことが特徴です。
測定装置での設計が中心で、特性重視で巻き線やコアの材質を選定します。
日本では’音質=特性’と言う概念が定着していて作る方も使う方も技術志向(指向)の
考え方が支配しているため数値で表せない感覚的な’潤い、温かみ、響き、’など感性に
かかわるものは無視されます。音質は中高域に特徴があり、’寒色系の音質’。
巻き線やコアの材質が古い欧米のトランスとは音質の決定的な差となっています。
周波数特性20,000Hz 以上は不要で上が伸びるほど最も重要な中域が痩せて音が冷たく
なります。
また、国産トランスはノイズを防ぐためシールドが強く、その分音質が劣化しています。
古い欧米のトランスは特性よりも音質重視のためシールドが弱くアンプのボリュームを
上げ過ぎるとノイズが出る場合があります。
カンノトランス(菅野製作所)は他の国産メーカーと異なりウエスタントランスの音質
を徹底的に分析しコアの材質を分子配列レベルまで調査して、その仕様で制作したとされ、
高域を無理に伸ばさず最も重要な中域を重視したウエスタンの設計となっています。
このトランスを使ったカンノアンプは卓越した音質で他を寄せ付けず、アンプの命は
トランスであることを証明しています。
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