シュアM3D,GEバリレラ,オルトフォン,シュアM7D
バリレラ・シュアM3D・M7D・オルトフォン


    バリレラ       シュアM3D,GEバリレラ,オルトフォン

自分のシステムに合うカートリッジを見つけるにはある程度試行錯誤で変えてみる以外にありません。
カートリッジはアンプよりも
スピーカーとの相性が優先されます。
クラシックは欧州系、ジャズは米国系とスピーカーの使い分けが一般的です。クラシックとジャズでは
奥行き感、ホール感、ライブ感が逆です
。このため
カートリッジを使い分ける必要があります。

特性を重視した市販のカートリッジは押しなべて音が細く硬い。材質を変え計測器では達成できても
その高域が最も重要な中域に悪影響(音が痩せる)しています。20,000Hz 以上の音は不要。


    シュアM3D 
MCカートリッジは出力電圧
0.3mⅤ前後と低く、昇圧トランス又はヘッドアンプが必要となります。
カートリッジの純粋な音質ではなく、昇圧トランス又はヘッドアンプを通した音を聴きますのでその
音質に左右されます。選択に要注意。
MCカートリッジは繊細な音質が特徴。特に弦楽器の再生は素晴らしくクラシックには良く合います。
反面、パンチ力には欠けるためジャズには物足りなさが残ります。

MMカートリッジは出力電圧5mVと高く、昇圧トランスが無くとも再生できます。構造が簡単で使い
やすく安価で針交換が出来ます。
音質はパワフルでダイナミック。繊細さ、奥行き感には欠けますがジャズ、ボーカルには合います。
50~60年代のジャズ、ボーカルでは1000~6000Hz(ボーカル~8000Hz近辺の中域の厚み
が重要でこの厚みが音を前面に出し奥行き感が出ます。
MMでも近年の軽針圧カートリッジでは中域が薄く音が痩せて聞こえて必要な迫力が出ません
70年代以降になると高性能な録音、再生装置やデジタル録音の出現でレコードの概念が激変。
ジャズ、クラシックともカートリッジの選択が変わってきます。

    シュアM7D

50~60年代のジャズ、ボーカル(モノラル盤、ステレオ盤)の再生にはこれらのカートリッジ
JBL/ALTEC のジャズ用のスピーカーとはよく合います
音の重心が低く中低域に特徴があります。当時の雰囲気をよく再現しボーカルやサックスなどは逸品。
ボーカルのバックの弦楽器再生は滑らかな音質で
GEバリレラ違う点です。
通常のシステムには最適初期型SPUに似た音質

カーメン・マクレーのサティンドールではベースソロの弦のうなりが生のように聞こえてきます。
ビリーホリデイのボーカル(ステレオ)は古い録音にもかかわらずギター,ピアノ,サックスとドラム
のブラシが明確に分離されて
最近の装置のような薄っぺらな音ではなく
音に厚みと温度があります。
中域の押し出しと滑らかさは他のカートリッジにはないもの。楽器の定位も十分で音場感がある再生。

V15 シリーズとは対照的ジャズには V15TypeⅢ が定着しています。
V15
は特性が良くきれいな音ですがジャズのホットさが出ず、50年代の雰囲気はありません

70年代以降の高性能な録音のクラシックでも驚異的な再生をします。
バッハのオルガン、リストのダンテ交響曲、シュトラウスのツアラトウストラなどやピアノ曲、
金管楽器、パーカッションの楽曲ではオルトフォンよりも中域が厚く迫力ある再生。
M3DよりM7Dの方が金管楽器の再生には適しています。

’ボヘミアの森から’ではイルカのボーカルが出た瞬間、そのリアルさに息を呑みます。
フランクプールセルの’ミスターロンリー’ではゆっくりと流れるテンポの中で大編成の弦楽器群が
出す絹のような音はダンゴにならず全楽器が聞き取れるようです。

  ・M3D('59年):帯域がフラットに近く、色付けのない
音場感ある音質
  ・M7D('59年):中域に膨らみがあり音の厚みが増加。M3Dより迫力がある
  ・M8D('59年):M3D と M7D の中間の音質。入手困難。
   
いずれも針圧は 3~5g(MM)


    GEバリレラ

50~60年代のジャズ、ボーカルの再生で JBL/ALTEC のスピーカーとはよく合います。
GEバリレラMMモノラル)には
RPXシングルバトン、VRⅡ の3種類があり針の太さで音質が異なる
針も
0.7ミル、1ミルミル(SP用) があります。
GEバリレラVR22(MMステレオはステレオ仕様で、針も0.7ミル1ミルがあります。
どちらも持っておきたいカートリッジの一つです。
   
いずれも針圧は 4~5gMM

 RPX・VRⅡMONO針)
針が特殊なバリレラ構造。小編成のジャズで特にサックス,ペットの再生が素晴らしい。
楽器の定位は明確でモノラルにもかかわらず他に類を見ない音場感があります。
音はクリアで厚み響き
があり、当時のホットな雰囲気を再現します国産モノ針とは比較になりません。
ボーカルはバックの演奏から浮き出て、前面に出てきます。


 VR22(ステレオ針)
音質はモノラルと同じ傾向ですが音場感は数段上です。歯切れのよい音は逸品。
サイドワインダー(ブルーノート/ステレオ盤)ではリーモーガンのトランペット、
ヘンダーソンのSAXが鮮烈。ヒギンズのドラム、クレンショウのベースは埋没すること
なくはっきりと聴き取れます。奥行き感が明確。
シュアよりも帯域が若干フラットのため高域の再生が若干強くなります。
和ジャズ’鈴懸の径’では鈴木章治のクラリネットが浮き出て迫力があり、ギター,ヴァイブ、
ピアノ、ドラム、ベースもはっきりと聴きとれ埋没することがない音場感があります。
JBL4301はドンシャリ型ですが、日野皓正のトランペット、松本英彦のサックスなど音の出方
が鋭く目前で聴いている雰囲気。
VR22とはベストマッチ。

弦楽器の再生では高域が強く出てスピーカーのアッテネータ又はアンプで高域調整の必要があります。
クラシック再生には合いません。