オーディオ・アナログ


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フォノイコ(フォノイコライザー)はレコードに刻まれている音の高域と低域を補正する仕組みです。プリアンプに内蔵されたレコード再生用の必須の回路。しかし最近のアンプにはこのフォノイコは組み込まれていません。理由は2つ。レコード需要が減り、CDに変わったこと。アンプに内蔵するフォノイコは簡易型で音質が良くないことです。高級アンプほど外付けのフォノイコが重要視されています。

1)フォノイコとは
音源からレコードに音を刻む場合にはRIAA型(EQカーブ)の補正で低域を小さく、高域を大きくする操作がされています。それをアンプで再生するときには逆の補正が必要となります。その代表がマランツの補正カーブとマッキントッシュの補正カーブです。当時の代表的な市販アンプがマランツ-7とマッキントッシュC-22でした。その後評論家の風潮でマランツはクラシック用、マッキントッシュはジャズ用として定着した経緯があります。

2)マランツ型とマッキントッシュ型
同じ構造のフォノイコでマランツ型とマッキントッシュ型を聞き比べてみると補正カーブの違いはわずかな差ですが思った以上に音の違いが明確に出ます。音の重心と解像度が違います。マッキントッシュ型の方が音の重心が若干低くその分中高域の解像度が違うように聞こえます。
この補正カーブのわずかな違いによってメーカー製の再生音質の差が出てきます。

クラシックの場合:マランツ型では弦楽器の定位が明確ですがマッキントッシュ型では定位が薄れます。
ジャズの場合・・:マランツ型では低域が薄くなりますが楽器の定位は明確に、マッキントッシュ型
          では低域が厚くなり音のパンチ力が増しますが定位が甘くなります。

生演奏の再現の観点から見ると楽器の定位が最優先となるためマランツ型が優位となります。
試聴室で使っているフォノイコ3台がいずれもマランツ型である所以です。ジャズの生ライブを聴いても低域の再生はそれほど重要ではありません。
現在でもマランツ-7のフォノイコは世界最高との定評があります。

3)フォノイコ付属のMC入力
メーカー製のフォノイコにはほとんどがMC入力が付属していてスイッチでMM入力と切り替えが出来るようになっています。即ちMCカートリッジの出力を増幅するヘッドアンプがフォノイコに内蔵されています。
昇圧トランスなしでMCカートリッジを使えますが、これが問題で押しなべてトランスより音質が悪い上価格も高くなります。MCカートリッジは昇圧トランスを使う方が無難で調整も容易になります。


4)フォノイコの選定
試聴室では過去に18種のフォノイコを試聴しました。1〜15万円程度の自作、メーカー製、業務用を問わずかなりのフォノイコを試聴してきましたが、使用に耐え得るのは2機種のみでした。試聴室で今も使っている2万円のガレージメーカー製3台と1万円弱の真空管増幅自作品のみ。いずれもマランツ型でMM入力。
メーカー製で高いものほど、装備と特性がいいものほど回路が複雑で音が悪い。一聴した時には音の違いが出ますが耳が慣れてくると潤いがなく単調な音で生の感動がわきません。霧がかかって見通しが悪い音、奥行き感がなく平面的な音、楽器の分離が悪い音、など。