ライントランス                     MCトランス,リピート(ライン)トランス,フォノイコライザー

オーディオの音作りには音場感が重要で下記の5項目の定義(5感)から成り立ちます。
辞典によれば
音場感とは「音像」が「定位」する場所をとりまく「空間の情報」のこと。聴き手に演奏
会場の広さや立体感を感じさせる大きな要素となります。

1.広がり感 2.奥行き感 3.空気感 4.ホール感 5.ライブ感 

この5感(音場感)は似ているようで微妙に違いがあり、どれが欠けても音場感に欠けます。
音の柔ら
かさを優先するのは
音に奥行き感を出すための必須条件でこれをベースに硬さを調整。

また、装置のいずれかを変えた場合は
システムになじむのに最低3〜4週間はかかります。この間に音質
が微妙に変わります。

1.広がり感

ステレオ盤では当たり前の話ですがモノラル盤でも同じ広がり感が要求されます。
50 年代の初期のステレオでは技術的な点で中抜けの左右分離型の録音の盤が多く、左右からの音はよく
分離しますが正面からの音が薄く違和感があります。


モノラル盤(主に
50 年代のジャズ、ボーカル)は音源が1点のため音の広がりはありませんが、
GEバリレラ や SPU-CG25D のモノラルカートリッジで聞くと中央の一点から出てくる音はペットや
サックスの鮮明な迫力ある音が飛び出してきます。ある意味ステレオ盤よりもモノラル盤の方がジャズ、
ボーカルでは迫力ある音場感が得られます。 カートリッジの選択が重要。

2.奥行き感

平面的な音は長く聴いていると疲れてきます。引っ込む音、飛び出す音はスピーカーとアンプの相性で
決まってきますが入力側を変えることである程度対策できます。アナログではフォノイコライザー、
トランスを変えると効果があります。

ベルトドライブは音の響きが優れています。
DD 方式は響きが出ず音が平面的になります。
いまだにベルトドライブに人気があるのはこのためです。
奥行き感を出すにはいわゆる平面的なダンゴ状態の音から全ての楽器一つ一つの音を分離させて再生す
ることです(
音源の分離、楽器の定位)。
クラシックでは後方,ジャズでは前方に音が展開されます。この正反対を同じ装置でするのは至難の業

スピーカーケーブル(ブラックエナメル単線),ラインケーブル(ブラックエナメル単線),フォノイコ
で音が変わってきます。最近の高価な
OFC ケーブルは高域特性を重視しているため、中域が痩せた寒色
系の音質で
音場感がありません。古いウエスタンの方が楽器の定位、音場感でははるかに優れています。


3.空気感

空気感とは演奏会場の何とも言えない雰囲気を再現すること。拍手、ざわめき、静寂、楽器の音が伝わ
る生々しさなど。再生では最も難しいところです。空気感の再現には中低音の再生方法がかかわってい
ます。単に低音がよく出る(ボンボン低音)のではなく、
30〜50Hz 近辺までズンと沈み込む感覚の
微かな低音が必要になります。パワーアンプの馬力が関係します。

4.ホール感(クラシック)

コンサートホールでクラッシックを聴くときの音源の伝わり方。野外コンサートでの音源の伝わり方と
は異なります。ジャズのビッグバンドもこれに相当します。
ホール感を出すにはレコードに含まれている残響を適度に引き出す必要があります。(残響再生
この残響効果でそれぞれの楽器が柔らかく聞こえ
距離感が出ます。これがホール感を増します。
カートリッジの選択で再現できます。オルトフォンなどの響き、残響を出せるもの。

5.ライブ感(ジャズ・ボーカル)

小編成のジャズ、ボーカルなど同じホールの楽器演奏の空気感でもクラシックのホール感とはまったく
異なります。目の前で演奏している感じ、残響が少なく音が飛び出してくる感じが必要。
ボーカルはバックと同じ平面にならないこと。高域は伸ばさずに中域を重視。

ジャズのライブ感を出すには残響は邪魔になります。
残響を少なくするのがコツです。
テナーサックスのつぶれ、かすれた低域の生々しい吹き出すような再生。
同じピアノ演奏でもクラッシックとジャズでは異なります。前者にはピアノの響き、コロコロ感が必要
ですが、後者にはピアノのアタック感が必要です。まったく違った表現を1つのシステムで再現するの
は困難で妥協が必要。
きれいな音を出すのは難しくはありませんが、ホール感、ライブ感を出すのは相当の苦労が伴います。

6.音場感チェック用

フォークの
イルカ’ボヘミアの森から’45 回転LP :クラウンGWX-61)は前段の語り、イルカの
ボーカル、バックのオーケストラの再生でオーディオに必要な要素がかなり入っていてシステムの
チェック用には適しています。
試聴室では
クラシック、ジャズとも音場感の確認と装置の調整の確認は必ず使っています。


   ライントランス

前述した”音場感”を確認するには’スピーカーが消えてなくなる音’で確認はできます。
スピーカーが消えてなくなる音’とはクラシック、ジャズを問わず左右スピーカーを含む目前の空間
全体から
音が出ている状態でオーディオの究極の状態。音質が変化するだけでは感動は続きません。

1.オーディオ装置選定の注意事項

新たにシステムを組むとすれば 1)スピーカー,2)カートリッジ,3)プレーヤ,4)パワーアンプ
5)プリアンプ の順番(音質を決定する順位)になります。
高価な装置は良い音がするというのは間違いで、組み合わせを間違うと意に反する音になります。
また、有名な装置を組み合わせても同じです。人それぞれ音の好みが違いますので目指している音を
明確にしておくことが重要です。
評判の装置を組み合わせるだけでは音は出ますが音になりません

2.ブランド指向の失敗とは

メーカーの異なる装置を組み合わせるだけではそれぞれ設計思想が違うのでほとんど期待するような音
は出ません

同一メーカーの装置で統一するとそのメーカーの設計した音は出ますがそれが好みの音とは限りません。
ここにオーディオの難しさがあります。 









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