トーンアーム,MCカートリッジ,オルトフォン       トーンアーム,MCカートリッジ,オルトフォン

オルトフォンのトーンアームとカートリッジは音質が良いことで有名ですが、国産各社のものと
比較しても音作りの基本が全く違っているのがわかります。国産は特性を重視した音作りで
各社全てに共通して言えます。音が高域方向に伸びているのが特徴です。
一方、オルトフォンは音が柔らかく響きがありこれを基本に音場を作り出しています。
古いほど音が柔らかい。

オルトフォンの初期型アームにオルトフォンの SPU、MC-20、30 を付けて一度は聞きたいもの
です。これは驚愕です

ピアノの響きと弦楽器の絹のような肌触りは
聴いた者にしか分からない悪魔の音です
これに匹敵するのがトーレンスのアームです
TP-11,16,90 など見た目は頼りないですが
音はオルトフォンと区別がつきません。

国産アームは全て画一的な硬質の音で音質の優位性はありません。国産では音質が良いとされる
FR-64S もクラシックには合いますがジャズにはホットさが全く出ません。
国産のカートリッジは振動系の軽量化を、アームは徹底した防振とデザインを志向していますので
オルトフォンとは設計の思想が基本的に異なります。

1.トーンアーム(初期型)

 1)ダイナミックバランス型: RF-297、RMG-309(212)、RMA-309(212)、RS-212
 2)スタティックバランス型: 
SMG-212、AS-212

前者はダイナミックバランスで後者はスタティックバランスです。これらに音質の差はなく他社の
アームを寄せ付けない音場感を出してくれます。プロ、マニアが使うアームとして評価が高い。
構造は極めてシンプルでデザインは褒められたものではないのに
音質が良いのは証明不可能
軸受は左右とも微細ベアリング5個で本体シャフトを受けているごく普通の構造で特異性はない。
アームパイプはアルミ製。本体構造もベアリングで横回転する普通の構造。線材は初期の銅線。
シェルソケットは固定式で圧入(交換は不可)。

後期の
RMG-212i など (i)シリーズは材質が変わり軸受がメタル構造、アームパイプは
ステンレス製で剛性が高い分音質は初期型とは異なります。
また、現行品は日本製とのうわさもあり、要注意。音質は国産と同じ。

2.MCカートリッジ(2010 年現在)

初期のカートリッジは SPU シリーズ、MCシリーズに代表され、他の追従を許しません。
MC-10 は低価格。MC-20,MC-30 は群を抜いて音が柔らかく引き込まれます。
MCカートリッジは昇圧トランスで極端に音質が左右されます。トランスの選択が重要
但し、
現行品を含む近年のオルトフォンは特性を重視した設計に変化していて振動系の軽量化が
進み、価格も高騰しています。国産カートリッジと同じく高域が伸びて中域が薄くなり従来の
ような’なめらか’で音場感ある
音質が消えています。


 1)
SPU シリーズはオーディオニクス、ハーマン、オルトフォン物がありいずれも代理店名で
  呼ばれていましたが、オルトフォン直営になるとクラシック、ゴールド、リファレンス、
  マイスター、ロイヤルシリーズと変遷。
  
ゴールド以降は設計と材質が変わり現代的な音質に対応。初期の重心が低い音から生の音質に
  
変化しています。他の追従を許さず音質の次元が異なります。これも’ロイヤル’までで、
  以降は特性重視で硬質な音質に変化。要注意。

  初期のニクス、ハーマン物は経年でダンパーが硬化したものもあり要注意
  使うのであればゴールド〜ロイヤルをお勧めします。新品では
100時間程度の鳴らしが必要。

  
SPU は特性にこだわらず他に類を見ないほど音場感に優れたものでカートリッジの最高峰
 
 2)MCシリーズは
 MC-10,MC-20,MC-30 構成でそれぞれ MK2.SUPPER(2)
  
S、W、 と変遷しています。音質も次第に変わって行きますが、音の柔らかさでは最初期の
  無印にはかないません。
このシリーズは抜群の音質で一度は聴いてみる価値があります
  現行品のQシリーズ、Cadenzaシリーズなどはかなり音の傾向が変わり音の柔らかさはない
  現代的な音質になっています。しかし、音質は国産品とは比較になりません。

 3)クラシック専用の 
MC-1000、2000,3000,5000 は比類なき音質で弦楽器の
  音は異次元。オーケストラはホールにいる感じです。出力が小さいのが難点で使いずらい。。
  専用のトランスは
Tー1000、2000、3000、5000音質はウエスタンより劣る。

その他のMCカートリッジには以下がありますが、上記
SPU シリーズ,MCシリーズに比較する
と音の傾向が基本的に異なりクラシックには音場感もいまいちです。ジャズには合います。

 1)
SL-15、20      :SPU の軽針圧版(初期SPUに似た低重心の音質)
 2)
HMC-10,20,30    :(ジャズ用)
 3)Kontrapunkt-
A,B,C  :(ジャズ用)
 4)その他

オルトフォンの2Mシリーズに代表されるMMカートリッジは特性を良くしてクリアな音を出す
のが特徴で、明らかにジャズをクリアに聞きたいという狙いがあります。
50年代のジャズに必要
なホットさ不足。

3.プレーヤーとの組み合わせ

いくら音が良いオルトフォンでもプレーヤーとの組み合わせが悪ければ音は死にます。日本人は
ブランド志向が強く有名なブランドは音が良いはずとの思い込みや一度は使ってみたいとの欲望、
他に対する自慢で購入する傾向があります。G..プレーヤーや国産プレーヤーは不可。
音が死んでいます。お勧めはトーレンス、
Linn ,米国AR。音が生きています。







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