オーディオ・アナログ
ライントランス・トーレンスレコードプレーヤー・トーンアーム修理・MCトランス・フォノカートリッジ・音工房

     トーレンスレコードプレーヤー            SME

1950年代のモノラルレコードの再生は音を出すだけであれば事は簡単ですが、音場感を出そうとすると途端に
困難が伴います。ステレオと違って左右の広がりが無いのが致命的でジャズではライブ感が出ません。
ジャズのフルバンドやクラシックのオーケストラなど編成が大きなものはモノラルでは楽器の分離再生が不可能で
対策不可。しかし、小編成のジャズ、ボーカル、室内楽はかなりのレベルまで対策が出来ます。
過去に
ウエスタンの555ドライバーのスピ−カー(ステレオ構成:数百万円)でモノラルジャズを聴いたことがあ
りますが、驚愕の音でした。その生々しさは他を圧倒し、スピーカーの重要性を改めて思い知らされました。

1.スピーカーの構成
  1)モノラル構成

  本来のモノラル再生方法でスピーカーが1本の構成。音の広がりがなくよって奥行き感も出ません。
  但し、楽器単品(サックス、ペットなど)の音を生々しく再生することは出来ます。
  必然的にモノラルカートリッジを使うことになります。
  カートリッジとスピーカーの相性が合えば音が浮き上がり前に出てきて独特の音場感が出ます。

  2)ステレオ構成
  ステレオ再生の装置でモノラルを聴く方式です。スピーカーが2本あるためにモノラルレコードでも音の出方
  は異なります。
モノラル・カートリッジを使う場合は前項のスピーカーが1本の構成と全く同じでセンター
  から音が出ます。
ステレオカートリッジを使う場合はセンターより若干音の広がりが出ます。この広がりを
  利用して音場感の再生がある程度出来ます。しかし楽器単品の音が締りなく’
ぼやける’可能性もあるので
  要注意。

  3)スピーカーの選定
  ウエスタン555の音に憧れ、過去にアルテックのSPでこれに近い音を出したことがあります。
  但し、
小編成ジャズとボーカル(モノラル)に限定。試行錯誤の結果構成は以下。

  使用装置:
  スピーカー  :ALTECコロナ
  管球アンプ  :ダイナコMKV(出力管KT88)+アルテック1566

  プレーヤー  :トーレンス TD-520
  カートリッジ :GEバリレラRPX
  フォノイコ  :外付けMarantz7型
  ライントランス:ウエスタン111C
  レコード   :レーベルは’プレスティッジ’と’ブルーノート’(米国盤)
   


  アルテックのスピーカーは使いこなしが難しく、カーメル、メディナなど試行しましたが失敗。
  音を決定づけたのはWE-111Cとウエスタンケーブルです。
  ウエスタンの音は’
いわゆる乾いた音’と言われますが、これがモノラルでもペットやサックスの生々しい音
  を再現しています。ジャズ・ボーカル再生には不可欠な要素です。
  クラシックには不適で小編成ジャズ、ボーカル専用になります。

  オーディオではジャズ=JBLが一般常識となっていますが、これも使いこなしがかなり難しい。
  JBLサウンドとして有名でステレオでビッグバンドを聴くと心地よい音が出てきます。
  JBLサウンドはアルテックの対角にある音質で心地よい音ですが、典型的な’ドンシャリ’型でジャズ特有
  の’
泥臭さ’を出すにはかなりの調整がいります。。
  
’JBLの鳴らし方’を参照。小編成のジャズ・ボーカルとビッグバンドの再生は全く別物。

2.アンプの条件

  1950年代のモノラルレコードの特性はお世辞にも良いと言えず、モノラルSPとステレオLPの過渡期の
  特性と言えます。
   50年代  :帯域:30〜15KHz,ダイナミックレンジ:60db、モノラル、初期ステレオ。
   70年代以降:帯域:20〜20KHz,ダイナミックレンジ:98db、ステレオが中心。

  このようなレコードをトランジスターアンプで聞くと録音の粗が出て聞くに堪えない音になります。
  
倍音再生に優る真空管アンプが条件です。出力管の選定には要注意。中国管は音質が悪く不可。
  アンプは高域・低域のトーンコントロール付が必須です。

  オーディオマニアのほとんどは特性を重視した装置構成またはブランド志向の組み合わせでこれが失敗のもと
  となっています。

3.カートリッジの選定   
  カートリッジの選定は最後に行ってシステムに合うものを試行錯誤で選びます。モノラル再生ではオルトフォン
  より意外と
GEバリレラ(RPX、VR2)が合う場合があります。ペット、サックスの再生は素晴らしい。
  MCカートリッジは昇圧トランスが必要ですが、モノラル用カートリッジは出力が高く昇圧は不要です。
  低昇圧のトランスまたはライントランスを使う場合は音質に要注意。
    詳細はカートリッジの選定’を参照。
  
レコードレーベルが違うと音質が異なり、これに対応するにはカートリッジ交換でソース対応するのが一番
  経済的。レーベルは’プレスティッジ’と’ブルーノート’(米国盤)がお勧め。

  モノラル針(バリレラタイプカンチレバーの場合)でステレオ盤を聴くのは溝を破損するのでNG、
  ステレオ針でモノラル盤を聴くのは問題ありません。


4.ウエスタンのすごさ
  ウエスタン系の1920年台の送信用や1930〜40年代のアンプ用インプットトランスをライントランス
  として使うと音の表情が変わってしまいます。100年前の特性が悪いものにもかかわらず音質が激変するの
  は’
音作りは特性ではない’ことを証明しています。
    
’トランスの音色’、’トランスの効果’を参照。
  国産では唯一’カンノ’のトランスはウエスタンの素材を分子レベルまで解析して作られたと言われていて音
  は酷似しています。

  ウエスタンには米国ウエスタン、英国ウエスタン、ノーザンウエスタン(カナダ)と関連企業IPC、
  Langevin、DUKANE(いずれも米国)があり、ウエスタンのアンプ、トランス、関連を製作。
  音作りは共通しています。本業は電話、送信機など電信機器の企業。米国AT&Tの傘下。