ライントランス・MCトランス・音工房
ホールやライブで生の演奏を聴くとき少なからず感動を覚えます。聞こえてくる音楽に没頭するか又は
会場の雰囲気に没頭するか、感動で涙することもあります。ある時は背筋が凍る場合もあります。
オーディオでこの感動を覚えることはありません。それは感動を覚える要素が欠落しているからです。
音楽に対する感情は人それぞれで必ずしも一致はしていません。唯一基準となるのが生演奏のみです。
感動の実現には生演奏が持つ情報量
1.楽器の定位 → すべての楽器がどこで鳴っているかがわかる。
2.音場感 → 広がり,奥行き,空気感,ホール感,ライブ感 がある。
3.音質の3要素 → 潤い,温かみ,響き がある。
の3点がそろっている必要があります。
’感動の要素’= ’楽器の定位’+ ’音場感’+ ’音質の3要素’ → 生演奏が持つ情報量
オーディオは特性が良いほど’締まった音(寒色系の音)’になります。’楽器の定位’’音場感’は
ある程度出せますが’音質の3要素’がありません。これが’感動がわかない音質’となります。
一聴すると確かに高域、低域とも伸びが良く’良い音’に聞こえますがしばらく聴いていると’?’。
最近の装置は全てこの傾向があります。
’特性が良い’→ ’締まった音(寒色系)’→ ’音質の3要素がない’→ ’感動がわかない音質’
1.特性とは
1)スピーカー : 周波数特性、音圧レベル、入力レベル
2)カートリッジ: 周波数特性、出力電圧、チャンネルセパレーション
3)プレーヤー : 回転数偏差、ワウ・フラッター、S/N 比
4)アンプ : 定格出力、歪率、周波数特性、S/N 比
などで一般的には周波数特性で判断されています。メーカー別の音色の違いは含まれません。
特性を良くすると高域が強調され中域まで寒色系(締まった音)になります。
昔の JBL は 15KHz以上をカットしています。B&W (〜50KHz)とは対照的です。
2.B&W と JBLで特性の比較
B&W(CM1) と JBL(4301) のスピーカーで特性を比較するとわかりやすい。
’B&W の鳴らし方’’JBL の鳴らし方’を参照。
クラシックとジャズでは再生音が微妙に異なります。
クラシックの定位と音場感はCM1 が上で、JBL は音場感の奥行き感が薄い反面、弦楽器の再生
が柔らかく、潤い、温かみがあります。
ビリーホリデーはバックの演奏であきらかな差が出てきます。CM1 はバックの定位が明確に出て、
JBL は音質が柔らかく音場感豊か。
CM1 は JBL よりもはるかに特性が勝っています。CM1 の周波数特性は 〜50KHz、4301 は
〜15KHz と特性に大きな違いがあります。音質も全く異なり、CM1は潤い、温かみはありません
が見通しが良い晴れわたった音質、JBL は音質の柔らかさからくる潤いと温かみがあります。
また、CM1はホールの最前列で、JBLは最後列で聴いているような違いがあります。
どちらに感動を覚えるかは個人の好みの問題となります。
3.スピーカーの特性
高域特性を伸ばせば測定器の計測上は帯域が拡大し音域が広がります。これが’音質が良くなる’
と言われている理屈です。且つ全帯域の音量を均一にフラットにするのが良いと言われています。
しかし、この音を聴くと全く感動がわきません。最も重要な中域が痩せて聞こえます。
スピーカーの特性には以下の4種類があります。
1)フラット型(JENSEN型、B&W型)
音源に近い音を聴くことができるスピーカーを’モニタースピーカー’と言いますが一般的
にはスタジオで使用するとの認識があります。全帯域にわたって音量がフラットに近い音。
原音に近いかどうかの判定に使います。オーディオ用とは違い味気ない音になりがち。
JBL のモニタースピーカー4000 シリーズは本来のモニター型ではなく旧型 JBLよりも音域
がフラットの意味で使われているようです。JENSEN もこのタイプの音。
2)低域強調型(タンノイ 型)
低域が強く、高域が弱い再生音で低域から高域にかけてなだらかに音量が下がって行きます。
多くの人が好む音質で心地よく聞こえます。大型スピーカーに多いタイプ。クラシック向き。
欧州のスピーカーに多く見られます。
3)ドンシャリ型(JBL 型)
低域と高域が張り出した音質。JBL に多いタイプ。ジャズやロックに向いています。
ボーカルは前に出てきにくい。
4)かまぼこ型(ALTEC 型)
1,000〜8,000Hz の中域が盛り上がったスピーカーで ALTEC がこれに当たります。
音が前面に出てきてジャス、ボーカルに合います。クラシックには合いません。
いずれのタイプのスピーカーも一長一短があり,クラシック,ジャズ,ボーカルすべての音を理想的
に再生することは出来ません。それぞれに適したトランスで調整する必要があります。
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