ライントランス・トーレンスレコードプレーヤー・トーンアーム修理・MCトランス・フォノカートリッジ・音工房
スピーカーの音はユニット単体と箱との組合わせで作られています。ユニットの前面から出る音と
後面から出る音は位相が逆でこれが重なると減衰します。通常、吸音材を貼ってこれに対応。
箱の材質、板厚、容量で音質が変化しますがメーカーは試行錯誤によってこの問題を解決しています。
自作ボックスと称して素人が適当な箱を持ってきて作るなどはもっての外で音になりません。また、
スピーカの音は箱鳴りを利用していることを認識する必要があります。板厚が厚くなると響きが無く
なりゴツゴツした音になります。板厚が薄すぎると音の定位が定まらずぼやけた音になります。
1.スピーカーの設置は床置きしないが鉄則
高域は直進しますが低域の音は箱の周りに回り込む性質があり、床直置きすると低域が
強調されて膨らみ音像がぼやけます(床との共鳴)。箱の下四隅に木片を置き5cm程度
持ち上げます。箱の下に空間を作ることが重要です。厚めのマットを敷くのは不可。
持ち上げる高さによって低域の締りが変わります。この変化は中高域にも影響します。
国産のオーディオ機器はシェル、アーム、プレーヤーその他アンプにしろ共振は音質を悪くすると
いう考えで共振を徹底的に排除する設計がなされています。必然的に構造は緻密になり重量が増
して特性を重視するあまり本来必要な響きが無くなり画一的な無機質な音質となっています。
この音に音質が良くなったと思い込みますが聞き込んでいくと潤いがないのに気付きます。
一昔前の欧州のトーレンス、Linn、DUAL、米国のARなどの名機のプレーヤーの音が国産の物より
はるかに音質が良いのは何故か?その構造から国産の設計思想では説明がつきません。
1.国産アームとトーレンス、DUAL のアーム
前述したように国産アームは SAEC-407,CRAFT-3000、FR-64S に代表されるように
パイプにステンレスを使い軸受も緻密な構造を持ち徹底して共振を避ける構造になっています。
結果的に音質に差はなく硬く、細く、響きのない音となっています。
一方、トーレンスや DUAL の専用アームはアルミ素材で構造もシンプルそのもので共振
対策もなく少し心配になりますが響きが良く音質でも国産の物は足元にも及びません。
2.ステンレスパイプとアルミパイプ
FR-64S(ステンレスパイプ)と FR-64(アルミパイプ)とでは音質にかなりの差が
あります。前者は”カチッ”とした硬質の音でクラシック向き、後者は柔らかく奥行き感の
ある音でジャズ、ボーカル、クラシックどれでも合います。
3.オルトフォンのアーム
RF-297、RMG-212、RS-212,SMG-212、AS-212 など古いタイプのオルトフォン
アームは最も音質が良いアームとして知られています。
素材はアルミでその構造は意に反して極めてシンプル。共振などは無関係。
近年のオルトフォンアームは素材はステンレス。国産アームと同じ複雑な構造で音質は国産
とほぼ同じものとなっています。初期型のアームをお勧めします。
前述した トーレンス、Linn、DUAL、AR などのプレーヤーケースは共通して板厚 7〜10mm程度
の無垢、合板の木製箱型構造となっています。箱鳴りを利用したものでこれで音の響きを出している
と思われます。
何故 0.1mV〜5mV の微弱出力カートリッジの音質が良くなるのか技術的な説明は不可能ですが
箱鳴りとしか考えられません。以下の例も参照。
1.過去にトーレンス TD-124 でケースを積層合板に変えたら音が激変した経験がある。
2.国産のプレーヤーケースは全て積層合板のため音が硬く響きがない。
3.国産でも初期マイクロ MR-611 は合板素材の箱型で音の傾向がトーレンスに似ている。
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