オーディオ装置で使うケーブルは
1)スピ-カ-ケ-ブル:アンプ ➡ スピ-カ-間
2)ラインケ-ブル :CD,トランス,フォノイコ ➡ アンプ間など
3)フォノケ-ブル :プレ-ヤ- ➡ フォノイコ,トランス,アンプ間など
があります。いずれも音質に密接にかかわるもので、その選択を誤れば全てが台無しになります。
市販されているケーブルは全てが特性重視の”OFC ”とか”6N、7N,8N ”とか”無酸素銅”
を使ったものです。
「 無酸素銅とは酸化物を含まない 99.95%(3N)以上の高純度銅 」と定義されています。
このケーブルは広帯域でフラットな音質が特徴でモニターケーブルとしての特性があります。
おしなべて音が細くなり、寒色系の締まった音になります。
オーディオでは特性よりもいかに生演奏に近づけるかが主題であり、中でも音場感が重視される
ので特性とは無関係な感覚の世界です。 ’特性と感動の違い’を参照。
20 種類以上のケーブルを試聴した結果 90年以上前のウエスタンケーブルが最も音質が良い
ことがわかり試聴室のケーブルは全てウエスタンのブラックエナメル単線ワックス仕上げに
変えてあります。ウエスタンアンプに使われていたものです。
’楽器の定位’が驚くほど変わります。銅の純度は悪いが材質が良いからと言われています。
数万円/mの7N-OFCケーブル(ブランド品)も使ってみましたが、ウエスタンの足元にも
及びません。
ほとんどの人がケーブルは’銅の純度が高く径が太い方が伝送特性が良く、音質も良い’と認識
しています。ところが ?。これはモニターケーブルの音質です。
下記’6N/7Nケーブル と ブラックエナメル単線の試聴比較’を参照。
電気信号がケーブルを通過するときには音質の信号がわずかに失われます。
単線1本に対し、撚線は30~40本使用していますのでより多くの信号が損失します。これが
単線と撚線の音質差となります。また、材質でも音質が違います。
1.WE(ウエスタン)単線ケーブルの選定
ケーブルには単線と撚り線とがあり、12G(太い)~28G(細い)までの径の違いがあります。
20G を基準に太くなれば中~低域寄りの音で細くなれば中~高域寄りの音になります。
単線と撚線では音質が異なり、単線は奥行き感が出ます。撚線は変化があまりありません。
ウエスタンケーブルは全て音質が良いとは限らず注意を要します。使えるものは 2~3種類程度。
1930年代のウエスタンアンプに使われていた物に限ります。
市販のブラックエナメルと称するロール切り売り線は'50年以降のもので音質が全く異なります。
'1930年代’と'綿巻きWAX仕上げ'で区別できます。
WEケーブル ➡ 撚線
➡ 単線 ➡ スズ鍍金単線
➡ エナメル単線
➡ ブラックエナメル単線
単線ケーブルには上記の3種類があり、特に1930年代のウエスタンアンプの配線材に
使われていたブラックエナメル単線は特殊仕様で数が少なく長尺物はありません。
長さは 1~3m。太さは’20AWG、 22AWG’のみ。
実物は’ブラックエナメル線’を参照。
ケーブルも時間とともに音が変化します。1~2週間のエージングが必要です。
1)WE スピーカーケーブル
ブラックエナメル単線のエナメルを剥がし圧着端子で繋いでスピーカーケーブルとして
使用。音質劣化なし。スピーカーケーブルは長くすると音場感が減少するので片側3m
以下がお勧め。楽器の定位が明確になり音場感が増します。聴けばすぐわかる程。
市販されているスピーカーケーブルは OFC の撚り線で尚且つ径が太いものです。
過去に価格の高いブランド品8種類程度を試してみたことがありますが、いずれもわず
かな変化はあってもウエスタンの足元にも及びません。シールドは不要。
2)WE ラインケーブル
ブラックエナメル単線を使い作成するのがベスト。音質が激変。
2.フォノケーブルの選定
MCカートリッジは 0.1~0.5mv の微弱電流で外部のノイズに影響を受けるのでシールド
されたケーブルを要します。このためフォノケーブルに限りウエスタンケーブルで自作する
のはハムの危険がありお勧めできません。しっかりしたシールドのフォノ専用ケーブルを使い
ます。40 年前の国産フォノケーブルは音が柔らかく現在の OFC ケーブルとは音質が異なり
ます。
3.モニターケーブルとは
スピーカーにはモニター用とコンシューマー用があるようにケーブルにも同じ区分があります。
スタジオで使われている「モニタースピーカー」は楽器やボーカルの録音や編集で使われるもので
再生の確認のため使います。
同じように6N,7Nと言われる高純度の無酸素銅が開発されると高域特性が飛躍的に伸びて、
これが音質に置き換えられて高音質と誤解されていますが、あくまでもモニター用ケーブル。
機器を設計する上でケーブルの音質を排除し再生の確認のため使います。そのために全帯域の特性
をフラットにします。
オーディオでこのモニターケーブルを使うと無味乾燥な音質になります。
4.6N/7N(OFC)ケーブル撚線 と ブラックエナメル単線の試聴比較
6N/7Nに代表される国産のケーブルは特性を重視し、90年前のウエスタンのケーブルは
音質を重視して作られています。特性を重視するのは業務用でアンプ、スピーカー、CDなど機器を
設計する上で音質のモニターをするためのモニターケーブルとしての役割があります。ケーブルに
由来する音質を排除するため帯域が広く全帯域にわたってフラットを要求されます。
一方、オーディオで使う場合は音場感にこだわって生の演奏を再現する目的があります。
おのずと要求される要素が異なるのでどちらを選ぶか思案のしどころです。
試聴室のサブシステムで イルカ の’ボヘミアの森から’を試聴すると一聴して音質が異なる。
6N/7Nは高域が伸びてきれいな音質、全帯域フラットな音質、中域が薄く平面的。
ブラックエナメル単線は中域が張り出し、低域も十分で音場感と奥行き感がある。
外径2mm弱の細い単線で40Hzまで低域が出るのは驚異的です。
6N/7N(OFC)ケーブル撚線 : 外径9mm(撚線1本の径は単線の1/10~ 1/20)
ブラックエナメル-20AWG単線 : 外径2mm
ブラックエナメル-22AWG単線 : 外径1.8mm
単線は本数が多い撚線に比べ抵抗その他の影響が少なくオーディオケーブルには最適です。
ただ、単線の為、堅くて扱いにくく同じ箇所を何度も曲げると断線します。