1.ブルーノートの音質
ブルーノートは1950 年代中頃〜1960 年代中頃までの最盛期レコードに傑作アルバムを数多く出し
ています。モノラルからステレオに移行した時期(1958 年)で両方が混在。
当時のステレオ技術はまだ未熟で中央部が抜けた状態。モノラルの方が臨場感があり迫力があります。
当時のレコードを現代の装置で再生すると装置の特性が優れているためレコードの録音の粗が目立って
しまいます。
ブルーノートにはモノラル盤、ステレオ盤があり,日本プレス物は楽器の分解能が悪くプレスティッジ
レーベルと比較すれば歴然と差が出ます。
当時のレコードの中では米国盤の’プレスティッジ’’ブルーノート’が群を抜いて音質が良い。
2.モノラルジャズの再生
試聴室ではモノラル再生を長年調整していますが未だに完成に至ってはいません。レ-ベルによって
差が出てきてしまう。
先般、古いトーレンス TD-184 を整備中に試しにブルーノートをサブシステムのスピーカー
JBL-L75(20cmフルレンジ)で聴いた時今まで聞いたことがない音が飛び出してきた。
プレステージの音そのものです。盤を変えて聞いても生々しい吹き出すような音は同じ。
ブルーノート以外の盤も同じ結果でした。使ったカートリッジはプレーヤに付属していたシュアM7D
(ステレオ丸針)。
ブルーノートがまともに聞ける音に変化したのは装置の水準が同年代のものに統一され録音の粗と
スピーカーの粗が出なくなったからではないか。レンジの狭い LE8T の音が豹変し、その狭さを全く
感じさせないリアルな音が飛び出してきた。
古いジャズは装置の特性を追求すると逆効果になるようで、古いものは古いものでが鉄則。
3,モノラル盤のカートリッジ
50年代のモノラルジャズに近年の高特性のカートリッジを使うとほとんどの再生音が貧弱になります。
かと言ってモノラル用のカートリッジは全て良いかと言うとそうではなく数種類に限られます。
経験的にカンチレバーがバリレラタイプの物が良い。’オルトフォンCG(A)25D、GEバリレラ’が
お勧め。それぞれ音の傾向が違います。
詳細は’カートリッジの選定’を参照。
モノラル針(バリレラタイプカンチレバーの場合)でステレオ盤を聴くのは溝を破損するのでNG、
ステレオ針でモノラル盤を聴くのは問題ありません。
音の調整はテナーサックスを基準にするとわかりやすい。硬質でつぶれた音のような高域、吹き出す
ような”ブリブリ”感と”カスレ”たような音の低域が生々しく飛び出してくるかどうか。
微妙な表現力がないと並の平面的サックス音となります。初期モノラルは帯域が狭いのでアンプの
高域トーンコントロールを上げた方が生々しくなります。
自分の装置に合うカートリッジを根気よく探す以外に方法はないようです。
音が太くて柔らかい音のカートリッジが比較的合います。
4.ステレオ盤のカートリッジ
レコードのステレオ盤が出始めたのは’58 年。マイク2本で左右分離するだけの単純な録音で録音
機材もそれほど特性が優れたものではなかった。’70 年代以降になると高性能な録音、再生装置や
デジタル録音の出現でレコードの概念が激変。
この歴史を考えると年代の古いレコードと新しいレコードでは再生の仕方が異なるのが当たり前です。
古いものは古いもので新しいものは新しいものでが鉄則。しかし装置全体を2重に持つのは経済的
に不可能で、カートリッジ(入力)とライントランス(出力)で調整するのがベスト。
詳細は’カートリッジの選定’を参照。
5.トランスの併用
試聴室では ウエスタン、DUKANE、JENSEN の3種類の’ライントランス’を併用していますので
ブルーノートの試聴にもその影響は出ています。トランスを外せば安っぽい音になります。