家庭用電源は使用している家電類のノイズが乗り波形はかなり乱れています。この乱れがオーディオ装置に
与える影響は音質劣化又はノイズ発生としてまれに現れる場合があります。通常は問題が表面化しません。
レコードを昼間と深夜とで聞き比べると明らかに音質の差が出ます。深夜の方が音場感が増してシステム
がグレードアップしたようになります。装置を変えたわけでもなく電源ノイズの差と考えられます。
1.ノイズとして問題が出る場合
過去に以下の事例の問い合わせがありました。
・マンションの住人でレコードプレーヤーを購入したところ、周期的にノイズが生じるとのこと。
周期は一定でなく規則性がない。オーディオ装置のいずれかに問題があるとしてすべてチェックしても
原因不明。半年後に連絡があり原因はマンションのエレベータのようでその動きとノイズの周期が合って
いるとのこと。対策として電源にノイズキラーを入れても解決せず、100Vを遮断して新たに再生する
アイソレーショントランスを入れて解決したようです。エレベーターによる強い高周波ノイズの事例。
・戸建ての家庭用電源でエアコンの起動停止に合わせてレコードプレーヤーにノイズが出る。CD 再生では
問題ないとのこと。装置をチェックしても原因が判明せず。状況から装置のライン上の問題ではなく電源
周りと考えられます。通常はこのような現象は生じません。
2.ノイズキラーと電源トランス
オーディオの音質を良くしたいとの思いは万人の共通した望みであり、いろいろな改善をします。その一つ
はノイズキラーの使用です。電源回りと信号ライン周りの対策用が市販されていますが、いずれも気休めで
実質効果は全くありません。理論的には波形を測定するとノイズが減衰していますが人の耳はこの程度では
感知しません。メーカーの理論の宣伝に乗らないことです。
電源トランスには以下の2種類があります。
@トランスにノイズキラー回路を組み込ませて 100V電源を通すもの。(ノイズキラートランス)
A100V電源を遮断し、新たに 100Vを再生するもの。(アイソレーショントランス)
ノイズ低減の点ではノイズキラーよりも効果はありますが前例のように強度のノイズには効果はまちまち
です。実際に使って検証しなければわかりません。
アイソレーショントランスは1次側を遮断して2次側で新たに再生するので波形ではノイズは減少しますが
聴感上の低減はまちまち。このトランスの利点は 50Hz→60Hz の周波数変換ができますので 50Hz
地域で 60Hzが使え音質面では有利です。プリアンプ及びそれ以前の機器で使用。
3.電源トランスと音質改善
音質改善のため 40万円をかけてアイソレーショントランスを入れたが全く効果がないとの事例も過去には
ありましが、電源トランスで音質が変化するかと言うと効果は 1/2。試聴室でもプリ前段にCSE、パワー
にDaitronのアイソレーショントランスを入れてありますが、音質面では前者は少しの変化、後者は明ら
かに変化。電源トランスで音質が変化した場合、必ずしも良い方向とは限りません。ほとんどが締まった音
へ変わり、高域が強くなります。感覚ではしばらく聞くと疲れが出て対策を要します。