ライントランス・トーレンス・オルトフォン・ウエスタン・WE111C
スピーカーの構造には密閉型、バスレフ型、バックロードホーン型、ドロンコーン型があります。
最近のスピーカーはほとんどがバスレフ型となっています。スピーカーボックスの前面か後面に
空気穴を作り、スピーカーの空気の振動を外に出して低音を増強する構造です。
低音は増強されますがJBLに代表されるように’ボンボン’型の低音になる傾向があります。
ツイーターの高音は直進性があり、ウーハーの低音は直進性が弱くスピーカーボックスの周りに
まとわりつく性質があります。これが床材と共振を起こします。
この低域の性質が中高域の音質に悪影響を与え、特に 1,000〜8,000Hz の中域の音が
濁ります。対策は下記。
小編成のジャズではこの悪影響はあまり感じませんが、それでもピアノの響きではわかります。
クラシックではオーケストラに影響が出て交響曲、協奏曲などは中域の濁りが明確にわかります。
1.B&W CM1 での検証
バスレフポートの穴は後面。付属品に純正のフォームプラグという穴を1/4にする樹脂製
の部品があります。低域のふくらみを低減させる場合に挿入するように取説に記載。
CM1 のような小型のスピーカーでは低音が出にくく低域再生が重要になります。
使用装置
1.スピーカー :B&W MC1
2.カートリッジ :オルトフォンMC20
3.プレーヤー :トーレンスTD206
4.アンプ :城下工業SW-C20B(1.3w×2)増幅管はWE420に変更
5.昇圧トランス :DUKANE 3A25
6.ライントランス:ウエスタンWE111C
7.ソース :ショパン ピアノ協奏曲1番(RCA)
2.バスレフポート全開の場合
大型スピーカーにも劣らない十分な低域が再生されます。音場感も申し分なく問題なく聴
けますが楽器の定位が今一つ中域にモヤモヤ感があります。
3.フォームプラグ使用の場合
明らかに低域が減少し、ふくらみが無く締まった低域になります。
中域がスッキリして楽器の定位が明確になったのがわかります。ピアノの響きもよくなり
オーケストラから浮き出てくるのがわかります。
4.低域の再生の仕方
クラシックではオルガン以外でコントラバス、バスドラム、ジャズではベースが低域再生
の楽器ですがコンサートホールやライブでの生演奏を聴くと明確に聞き取れるほどでは
ありません。オーディオでは低域をいかに抑えるかが重要で、この点でアンプのトーン
コントロールは必須となります。但し、使いすぎると中域まで影響します。
1)バスレフポートに詰め物をすると低域が締まります。
バスレフポートの調整とアンプのトーンコントロールの微調整がカギとなります。
2)スピーカーを床、ラックの上に直置きすると共鳴が起きて低域が膨らみます。
必ず浮かせること。黒檀など硬い木片を4隅に敷くこと。ゴムより木片の方が響き
が良くなります。スピーカーの下を 5cm 以上空洞にする。
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